RSUの確定申告を外資エンジニアが実際にやった話【つまずいた所も全部書く】

RSUの確定申告を外資エンジニアが実際にやった記事のアイキャッチ 技術とキャリア

「RSU をもらったのはいいけど、確定申告はどうすればいいのか」。外資 2 年目、最初の vest を迎えた私がまさに直面した問題です。この記事は、ベース + RSU の報酬体系で働く外資エンジニアの私が、実際にやった確定申告の記録です。

先にお断りを 2 つ。私は税理士ではありません。この記事は個人の体験記であり、税務アドバイスではありません。制度の正確な内容は国税庁のサイトで、個別の判断は税務署か税理士に確認してください。それでも書くのは、私が申告したとき「実際にやった人の記録」がほとんど見つからず、苦労したからです。

この記事を書いた人

  • 現役エンジニア(SIer 5 年 → 事業会社 → 外資系。転職 2 回で現在年収 1,500 万)
  • 報酬はベース + RSU の構成。RSU の確定申告を実際に経験
  • X: @detective_ai_en

そもそも、なぜ RSU があると確定申告が必要になるのか

制度の要点だけ整理します(詳細は必ず国税庁の一次情報を確認してください)。

1. vest(権利確定)した時点で「給与所得」になる

RSU は、譲渡制限が解除された日(vest 日)に、その日の株価で計算した金額が給与所得として課税されます。交付元が外国法人(外資の親会社)でも扱いは同じ、と国税庁の通達に明記されています(所得税基本通達 23〜35共-5 の 2〜4)。

2. それなのに、日本の給与のように源泉徴収されないことがある

外国親会社から直接付与される RSU は、日本の勤務先の給与計算の外で発生するため、源泉徴収されないケースがあります。この場合、給与所得者でも確定申告が必要な人の条件(タックスアンサー No.1900)に該当し得ます。また、給与収入が 2,000 万円を超える人はそもそも年末調整の対象外で、申告が必要です。

3. 売却したら、今度は「譲渡所得」の申告

vest した株を売ると、売却益は申告分離課税の譲渡所得(税率 20.315%)です(No.1463)。取得費は vest 日の時価(No.1464 に RSU の記載あり)。そして重要なのが、外国の証券口座(E*TRADE や Fidelity など)には特定口座がないこと。日本の証券会社なら年間取引報告書で済む損益計算を、自分でやる必要があります。

つまり RSU 持ちの申告は「給与所得の申告漏れを防ぐ」と「譲渡所得を自力計算する」の 2 つの作業がある、というのが全体像です。

いぬ
いぬ

会社は日本の給与分しか面倒を見てくれません。RSU の税金は自分の仕事です。

私の場合:何を申告したか

私が申告したのは vest 分(給与所得)です。vest された株はまだ売却していないので、譲渡所得の申告はまだ経験していません。

ただし、売却したら前述の譲渡所得の申告が別途必要になります。vest 後に株価が上がってから売れば、その差分に課税されるためです。「vest で申告したからもう終わり」ではなく、vest と売却でそれぞれ課税のタイミングがある、というのが RSU の全体像です。

実際の手順:e-Tax でやったこと

私の環境は、RSU の管理口座が Fidelity(外資でよくある米国の証券口座)、申告は e-Tax です。やったことを順に書くと:

  1. Fidelity の明細で vest の記録を確認 — いつ・何株 vest され、その日の株価がいくらだったか
  2. vest 日ごとの円換算 — vest 日の TTM レートを調べて「株数 × 株価 × レート」で円建ての給与所得額を計算
  3. e-Tax(確定申告書等作成コーナー)で申告書を作成 — 源泉徴収票の内容に、計算した RSU 分の給与所得を追加
  4. ふるさと納税などの控除もこのとき一緒に記載して送信

書いてしまえば 4 行ですが、初めてのときは「そもそも何をすべきか」を調べる時間が一番長かったです。

一番危なかったこと:申告が必要だと知らなかった

正直に書きます。私はそもそも RSU に確定申告が必要だということ自体を知りませんでした

日本で働いてきた感覚だと、税金は会社が全部処理してくれるものです。RSU が vest されても口座の残高が増えるだけで、「これは源泉徴収されていない給与所得だ」なんて発想はどこからも降ってきません。誰かに教えられて気づいたからよかったものの、知らないまま数年放置していたら、無申告加算税や延滞税を抱えるところでした。

この記事を書いている最大の理由がこれです。外資 1 年目のあなたが「え、申告いるの?」と今思ったなら、この記事はその瞬間のためにあります。

いぬ
いぬ

危険なのは「難しくて挫折」ではなく「必要だと知らない」こと。私は運よく気づけただけでした。

為替レート(TTM)はどこで調べたか

外貨建て取引の円換算は、原則取引日の TTM(電信売相場と電信買相場の仲値)を使います(所得税基本通達 57 の 3-2)。vest 時の給与所得も、売却時の譲渡所得も TTM です。

私はみずほ銀行が公開しているヒストリカルデータ(外国為替公示相場のバックナンバー。「みずほ銀行 ヒストリカルデータ 外国為替」で検索すると出ます)から、vest 日ごとの TTM を拾いました。日付ごとの TTS/TTM/TTB が一覧になっているので、vest 日の分を記録していくだけです。レートは主たる取引金融機関のものが原則とされていますが、公開されている銀行の公示相場を継続して使う方法が実務では広く使われています。

ふるさと納税はどうしたか

ふるさと納税は、RSU とは別の話として確定申告のときに寄附金控除として記載しました。どのみち確定申告をするので、ワンストップ特例は使わず申告書にまとめる形です(ワンストップ特例は確定申告をすると無効になるので、RSU で申告する人は最初から申告書に書く前提でいてください)。

なお、RSU の分だけ所得が増えるので、ふるさと納税の上限額も RSU 込みの所得で考える必要があります。上限シミュレーターに入れる年収を「ベースの給与だけ」で計算すると、上限を余らせる(逆に vest が想定より少ないと超える)ことになります。

まとめ:RSU 1 年目の人へ

  • まず「申告が必要かもしれない」と知ること。ここが最大の関門で、知ってしまえば作業自体は e-Tax で完結します
  • vest の記録(日付・株数・その日の株価)は Fidelity などの証券会社のサイトで履歴として確認できるので、自前の記録は基本不要。申告期に明細を見ながら円換算すれば足ります
  • vest 日の TTM は銀行の公示相場バックナンバーで調べられる
  • 売却したら vest とは別に譲渡所得の申告がある。外国口座には特定口座がないので計算は自分でやることになる
  • 会社に RSU 経験者は必ずいます。社内のナレッジをまず探すこと。私はこれに助けられました

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よくある質問

Q. RSU の確定申告をしないとどうなりますか?
A. 無申告加算税や延滞税の対象になり得ます(詳細は国税庁サイトで確認してください)。外国株式は国外送金等調書や CRS で税務署が把握しうるもの、というのが私の理解で、「バレないだろう」は成立しない前提で動くのが安全だと思います。

Q. 税理士に頼むべきですか?
A. 私は頼みませんでした。理由は、社内に RSU の確定申告のナレッジが蓄積されていたからです。外資には同じ申告をしている同僚が大勢いるので、社内の情報がいちばん自分の状況に合っています。逆に、売却回数が多い・外国税額控除が絡むなど複雑なケースや、社内に情報がない場合は、外国株式報酬に慣れた税理士への依頼も選択肢だと思います。

Q. e-Tax で外国株の RSU も申告できますか?
A. できます。私も e-Tax で申告しました。確定申告書等作成コーナーで作成でき、売却分は「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」で計算します(様式は国税庁の様式・手引きページにあります)。

Q. 確定申告を忘れていたことに気づいたら?
A. 期限後申告ができます。私は経験していませんが、放置するほど加算税・延滞税が膨らむので、気づいた時点で税務署に相談するのが定石のはずです。

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