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「SIer に入って 1 年、まだ大したコードも書いていないのに、このままでいいのか」。若手の頃の私が抱えていた焦りそのものです。先に結論を書くと、若手には「若さで勝負する道」と「経験を積んでから勝負する道」の両方があり、まず自分がどちらの土俵に立っているかを見極めるのが先です。私自身は結果的に SIer に 5 年いて経験で勝負した側ですが、若さを武器に早く動く選択も十分にあり得ます。大事なのは、動く前に「自分の焦りが何に対する焦りなのか」を切り分けること。混ざったまま動くと、転職先でも同じ不満を繰り返します。SIer 5 年を経て事業会社・外資と 2 回転職した私が、若手時代の自分に言いたかったことを書きます。
この記事を書いた人
- 現役エンジニア(SIer 5 年 → 事業会社 → 外資系。転職 2 回で現在年収 1,500 万)
- SIer 若手の頃、「開発らしい開発をしていない」焦りを実際に抱えていた
- 詳しい経歴: 運営者情報
若手が「辞めたい」と思う理由は、だいたい 3 つに分かれる
私自身の経験と、周りの若手を見てきた範囲で、SIer 若手の「辞めたい」はこの 3 つのどれかに集約されると思っています。動く前に、自分がどれなのかを切り分けてください。混ざったまま動くと、転職先の選び方を間違えます。
- 開発らしい開発ができていない(テスト・運用・ドキュメント・調整ばかりでコードを書けない)
- 技術が古い / モダンな環境に行きたい(枯れた技術ばかりで市場価値が不安)
- 労働環境・人間関係・給与(残業、多重下請け、給料が上がらない)
このうち 2 は、経験を積んだ人ほど「年収を下げずに動く順番」が効いてきます(詳しくは枯れた技術から脱出する方法に書きました)。この記事では、若手に一番多い 1(開発経験を積めない焦り) を中心に書きます。

「辞めたい」の中身を分けるのが先。理由が違えば、動くべき方向も変わります。
私の若手時代:コードより「調整」の時間が長かった
正直に書くと、SIer に入って最初の 1〜3 年目、私が触っていたのは開発そのものより、テスト・ドキュメント作成・関係者との調整が中心でした。大規模システムの現場では、若手にいきなり設計や実装が全部まかされるわけではありません。これは SIer の構造上、ある程度は仕方のないことです。
ただ、当時の私は「エンジニアとしてコードを書いて成長したい」という気持ちが強く、この時間が焦りになっていました。「同世代の Web系エンジニアはもっと手を動かしているんじゃないか」という比較が、頭から離れませんでした。
補足しておくと、この焦りは若手時代に限った話です。私自身はその後、年次が上がるにつれて設計や運用の中核を任されるようになり、この「大規模システムの開発・運用の経験」が、のちの事業会社・外資への転職で評価される武器になりました。つまり若手時代の「開発できない」焦りは、必ずしも「この会社にいても無駄」を意味しません。ここが判断を難しくするところです。
若さは、それ自体が市場価値になる
ここで若手に知っておいてほしいのは、1〜3 年目の「若さ」は、経験の薄さをある程度補う武器になるということです。
転職市場では、20 代前半〜半ばの若手は「ポテンシャル採用」の対象になります。今の実績が薄くても、これから伸びる余地を見込んで採ってもらえる。これは 30 代以降になると通用しにくくなる、若手だけの特権です。私が 2 回の転職で痛感したのは、年齢が上がるほど「今できること(実績)」で評価される比重が増すという事実でした。私自身は経験を積んでから動きましたが、逆に言えば、若手のうちは「実績が薄くても方向性で採ってもらえる」時期でもあります。行きたい方向に確信があるなら、この特権を使って早く動くのは一つの合理的な選択です。
実際、エンジニア職の需要は職業平均より高い水準が続いています。厚生労働省の「一般職業紹介状況」(令和 8 年 5 月分)では、情報処理・通信技術者の有効求人倍率は 1.30 倍と、職業計の 0.99 倍を上回っています(いずれも原数値。出典: 厚生労働省 一般職業紹介状況)。若手が動ける余地は、市場全体で見ても小さくありません。
ただし「焦って辞める」の前に確認したい 2 つ
若さが武器とはいえ、焦りだけで飛び出すのは危険です。私が若手時代の自分に言いたい確認事項が 2 つあります。
1. 今の会社で「開発に近い場所」に移れないか
辞める前に、社内の異動やアサイン変更で開発寄りのポジションに移れないか確かめる価値はあります。転職はコストもリスクもある行動なので、社内で解決できるならそれが一番低リスクです。ただ、SIer の構造上どうしても開発の機会が回ってこない現場もあります。その場合は、次を考えるのが現実的です。
2. 「何がやりたいか」を言葉にできるか
「今がイヤ」だけで動くと、転職先でも別の不満を見つけます。「Web系で自社サービスの開発がしたい」「モダンな技術スタックで手を動かしたい」など、行きたい方向を一言で言えるようにしておくと、転職先選びの軸になります。これは職務経歴書を書くときにも効いてきます(書き方はこちら)。
「開発経験を積みたい若手」の選択肢:Web系への転職
切り分けの結果が「1(開発らしい開発をしたい)」で、方向が「Web系エンジニアになりたい」なら、若いうちに Web系の開発企業へ移るのは合理的な選択です。SIer で開発経験が薄くても、20 代のポテンシャル採用枠なら、これから開発者として伸びる前提で採ってもらえる可能性があります。
ひとつ正直に書いておくと、未経験の領域に移るときは、一時的に年収が下がることもあります。経験者としての値段ではなく、これから育つ人材としての採用になるからです。それでも「開発経験を積む」という目的が明確なら、若手のうちは目先の年収より経験を優先する判断もあり得ます。ここは自分が何を優先するか次第です。
ここで一点、正直に書いておきます。私自身は「SIer → 事業会社 → 外資」というルートで、Web系への未経験転職やエージェント経由の転職はしていません。なので、以下は私の体験談ではなく、こうしたルートを考える人向けの情報として書きます。
若手・未経験からの Web系エンジニア転職を支援するエージェントもあります。たとえばユニゾンキャリアは、IT/Web業界に特化した転職エージェントで、未経験からのエンジニア転職支援に対応しています。開発・システムエンジニアのほか、インフラ(ネットワーク・サーバー・データベース・セキュリティ・クラウド)系の職種も扱っています。利用は無料で、職務経歴書がまだ整っていなくても相談できます。SIer で開発経験を積めず、Web系や別の技術領域に移りたい若手にとっては、こうした IT特化のエージェントに相談してみるのは選択肢の一つです。

若さはポテンシャル採用の切符。方向が定まっているなら、それを使えるうちに使うのは合理的です。
逆に、あと少し待った方がいいケース
一方で、私自身が結果的に SIer に 5 年いて良かったと思う面もあります。大規模で止められないシステムを運用した経験は、後の事業会社・外資への転職で確かに評価されました(その実録はこちら)。
若手にこれを引き寄せて言うと、今はまだ調整やテスト中心でも、大規模な案件に身を置いていて「あと 1〜2 年で設計や運用の中核を任されそう」な手応えがあるなら、そこまで見届けてから動くのも十分ありです。その経験は次の転職で「高く売れる経験」に変わる可能性があります。私の場合はこれが年収アップにつながりました。焦って未経験領域に飛び込むより、今いる場所で売れる経験を仕込む方が得なこともある、という順番論です(詳しくは枯れた技術から脱出する方法)。若さで勝負するか、経験で勝負するか。自分がどちらの土俵に立っているかを見極めるのが大事です。
まとめ
- SIer 若手の「辞めたい」は「開発できない」「技術が古い」「労働環境」の 3 つに分かれる。まず切り分ける
- 若手には「若さで勝負する道」と「経験を積んでから勝負する道」の両方がある。自分がどちらの土俵かを見極めるのが先
- 1〜3 年目の若さはポテンシャル採用の武器。方向が定まっているなら早く動くのも合理的(ただし未経験領域は一時的に年収が下がることもある)
- ただし「今がイヤ」だけで動かない。社内で開発寄りに移れないか、行きたい方向を言葉にできるかを先に確認
- 「開発経験を積みたい・Web系に行きたい」なら、IT特化のエージェントに相談するのも選択肢
- 逆に大規模システムの経験を積める見込みがあるなら、若さより経験で勝負する道も残しておく
関連記事: SIerを辞めたいエンジニアへ|年収を下げずに枯れた技術から脱出する方法
関連記事: エンジニアの市場価値の調べ方|転職しなくても測れる
よくある質問
Q. SIer は 1 年目でも転職できますか?
A. できます。20 代前半はポテンシャル採用の対象になりやすく、実績が薄くても伸びしろを見込んで採用されるケースがあります。ただし「今がイヤ」だけで動くと転職先でも不満が残りやすいので、行きたい方向を言葉にしてから動くのがおすすめです。
Q. 開発経験がほとんどなくても Web系エンジニアになれますか?
A. 若手のポテンシャル採用枠なら可能性はあります。私自身は Web系への未経験転職はしていないので断言はできませんが、IT/Web特化のエージェント(未経験対応のところもあります)に相談して、現実的な求人があるかを確かめるのが早いと思います。
Q. 「石の上にも三年」で SIer に残るべきですか?
A. 一律には言えません。私は結果的に 5 年いて、大規模システムの経験が後の転職で評価されました。一方で、開発経験を積みたい人が機会のない現場に居続けても、その焦りは解消しません。残る価値があるかは「今の経験が次に売れるか」で判断するのがいいと思います。
Q. 若手のうちに動くのと、経験を積んでから動くのはどちらが得ですか?
A. どちらの土俵に立っているか次第です。実績が薄いなら若さ(ポテンシャル)で勝負、大規模システムなどの経験があるなら経験で勝負。私は後者のルートで年収を上げました(実録)。自分の武器がどちらかを見極めてください。
Q. 未経験からの転職支援サービスは無料ですか?
A. 求職者側は無料のところが一般的です。エージェントは採用企業から紹介料を得るビジネスモデルのため、利用者からは費用を取らない形が多いです。個別のサービスの料金は、各社の公式サイトで確認してください。




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