「SIer から事業会社に転職して、後悔しないだろうか」。転職を考えていた頃の私が、一番不安だったのがこれでした。年収は上がるらしい。でも、聞いたことのない社内システム、自社サービスへの責任、SIer とは違う働き方——本当に自分に合うのか、確信が持てませんでした。
先に結論を書きます。私は SIer から事業会社に移って、後悔はしていません。年収は 200 万上がりました。 ただし「何もかも良くなった」わけではなく、SIer の方が良かったと感じる面も正直にありました。 この記事では、実際に SIer から事業会社に転職した私が、良かった点・期待と違った点・後悔しかけた点を、盛らずに書きます。転職前の「後悔しないか」という不安に、実体験で答えます。
この記事を書いた人
- 現役エンジニア(SIer 5 年 → 事業会社 → 外資系。転職 2 回で現在年収 1,500 万)
- 1 回目の転職(SIer → 事業会社)で年収 +200 万
- 詳しい経歴: 運営者情報
結論:後悔はしていない。ただし「全部が良くなった」わけではない
私の実感を先に表で整理します。事業会社への転職は、トレードオフでした。
| 観点 | SIer時代 | 事業会社に移って |
|---|---|---|
| 年収 | 上がりにくかった | +200万(一番の満足点) |
| 裁量・当事者意識 | 受託で言われた通り作る | 自分の判断で作れる |
| 技術の選択 | 客先都合で古い技術も | 比較的新しい技術に触れられた |
| 教育・仕組み | 研修や手順が整っていた | 整備が甘く、自走が必要 |
| 安定感 | 案件が途切れにくい | 事業の浮き沈みが自分に直結 |
「後悔したか」で言えば No。でも「SIer にも良さはあった」というのが、両方を経験した正直な結論です。
転職して「良かった」と感じたこと
1. 年収が上がった(一番の満足点)
これは記事タイトルの通りで、同じスキルでも、場所を変えるだけで年収が 200 万上がりました。 SIer にいた頃は「頑張っても給与テーブルの上限が見えている」感覚がありましたが、事業会社ではその天井が変わりました。後悔しない最大の理由はこれです。
なぜ場所を変えるだけで上がるのか、その構造は市場価値の話として別記事に整理しています。
→ エンジニアの市場価値の調べ方|転職しなくても測れる方法を実体験で解説
2. 当事者として作れるようになった
SIer 時代は受託開発で、「決められた仕様を、決められた通りに作る」のが基本でした。事業会社では、自社サービスを自分たちの判断で作れる。 なぜこの機能を作るのか、誰のためなのかが見える。この当事者意識は、想像以上にやりがいに直結しました。

「言われた通り作る」から「なぜ作るかを考える」へ。ここが一番大きな変化でした。
3. 使いたかった技術(AWS)を業務で触れた
転職の動機のひとつが、AWS を業務で使ってみたかったことでした。SIer 時代の環境は安定しているが枯れた技術が中心で、クラウドは個人で触れても業務経験にはできなかったからです。事業会社では、それが叶いました。この「業務でモダンな技術に触れた経験」が、後に 2 回目の転職(外資)の売り物にもなりました。
なぜ枯れた技術の環境から抜け出したかったか、どう技術を選んだかは、別記事に詳しく書いています。
→ SIerを辞めたいエンジニアへ|年収を下げずに枯れた技術から脱出する方法
期待と違った・後悔しかけたこと
正直に、しんどかった面も書きます。ここが「後悔しないか」を気にする人に一番役立つはずです。
1. 教育や仕組みが整っていなかった
SIer は、良くも悪くも研修や開発手順、レビュー体制が整っていました。 私がいた SIer は CMMI レベル 5(開発プロセスの成熟度が最高評価)を取っていて、PMO がプロジェクト管理を支え、ドキュメントの形式も標準化されていました。ところが転職先の事業会社にはそうした仕組みがなく、ドキュメントの形式ひとつとっても人によってバラバラでした。「これは自分で調べて、自分で進めるしかない」という場面が多く、最初は戸惑いました。手取り足取り整った環境を期待していると、ここでギャップを感じます。
2. 事業の浮き沈みが自分に直結する
受託の SIer は、一つの案件が終わっても次の案件があり、収入は比較的安定していました。事業会社は、自社サービスがうまくいくかどうかが、自分の待遇や環境に直結します。 これはやりがいの裏返しで、当事者である以上、事業のリスクも引き受けることになります。
3. 「事業会社ならどこでもいい」わけではなかった
これは記事にも書いた私の失敗ですが、事前の企業研究が甘いと、事業会社の中でもミスマッチは起きます。「SIer を出れば全部解決」ではなく、移った先の事業・チーム・技術がどうかを見極めることの方が、SIer か事業会社かの二択より重要でした。
それでも後悔しなかったのは、なぜか
期待と違う面もあったのに、なぜ後悔しなかったのか。答えはシンプルで、「自分で判断して作れること」と「年収」という、自分が一番欲しかったものが手に入ったからです。
教育が整っていないことや事業リスクは、裏を返せば「自走できる裁量」と「事業に近いやりがい」でもあります。何を重視するかは人によります。安定と手厚いサポートを最優先するなら、SIer に残る選択も十分ありです。後悔するかどうかは、事業会社の善し悪しではなく、自分が何を重視するかで決まる、というのが両方を経験した結論です。
SIerから事業会社への転職で後悔しないために
私の経験から、後悔を減らすために大事だと思うことをまとめます。
- 自分が何を重視するかを先に決める(年収か、安定か、裁量か、技術か)
- 「事業会社」で一括りにせず、移る先の事業・チーム・技術を具体的に調べる
- 今の自分の市場価値を把握してから動く。上がる転職か下がる転職かは、持っているスキルが評価される場所かで決まる
転職活動で私が実際に何を使い、どう進めたか(使ったサービス・活動期間・失敗談)は、実録として別記事に詳しく書いています。
→ SIerから事業会社へ転職して年収200万上がった話【5年目の実録】
関連記事: エンジニアの市場価値の調べ方|転職しなくても測れる
関連記事: ビズリーチの評判は実際どう?エンジニアが使った本音レビュー
よくある質問
Q. SIerから事業会社に転職して後悔しませんか?
A. 私は後悔していません。年収が200万上がり、当事者として自分の判断で作れるようになったのが大きいです。ただし教育の仕組みが整っていなかったり、事業の浮き沈みが自分に直結したりと、SIerの方が良かった面もありました。何を重視するかで結論は変わります。
Q. 事業会社はSIerより働きやすいですか?
A. 一概には言えません。裁量とやりがいは事業会社が上でしたが、研修や手順の整備・収入の安定性はSIerの方が上でした。トレードオフだと考えるのが正確です。
Q. 事業会社に移ると年収は上がりますか?
A. 私は+200万でした。ただし全員が上がるわけではなく、今持っているスキルが移る先で高く評価されるかで決まります。未経験の技術領域に飛び込むと下がることもあります。
Q. SIerを出れば悩みは解決しますか?
A. 「SIerを出れば全部解決」ではありませんでした。事業会社の中でもミスマッチは起きます。移る先の事業・チーム・技術を具体的に見極めることの方が、SIerか事業会社かの二択より重要です。
Q. どんな人なら事業会社への転職で後悔しにくいですか?
A. 年収アップや裁量を重視し、自走できる人は後悔しにくいと思います。逆に、手厚い研修・サポートや収入の安定を最優先するなら、SIerに残る選択も十分ありだと考えています。



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